風は東から

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そしてなんだかんだで到着した。 この第12騎士団の隊舎は他の隊舎と比べるとけっこうコンパクトなものだ。 その理由は、そもそもこの部隊の人数が50人にも満たないからだ。 班の構成は他の騎士団から選抜すると言っても、あくまで借りているだけなので自分の部屋はその隊舎にある。 そして最大の要因なのだが、この部隊は基本的に少人数で行動するため活躍があまり目立たない。さらに結果が紙でしか残らないため、それに拍車をかけてしまう。 つまりだ、騎士団の資金源たる貴族の方々に、こいつら役に立ってなくね?などと思われているわけである。 後は察してくれ。 入り口前で一呼吸し、扉を恐る恐る開く。 中はひどく静かだった。やはり各々が任務のため出払っているのだろう。それに同期は3人しかいないのだから考えてみれば当たり前のことだった。 とりあえず、 「団長に挨拶でもしてくるか」 各隊舎には団長室という部屋が設けられており、団長は任務か用事がない限りはそこにいるはずなのだ。 それはすぐに見つけることができた。 なんせ入り口から歩いて10歩の距離だったからだ。 扉の前に立つと中から話し声が聞こえてきた。恐らくは団長と同期のやつだろうな。 ドアを二度ノックすると直ぐに、〝女性の声〟で、「入れ」と言われた。 「失礼します!この度は第12騎士団に入隊す…」 「あー、堅苦しいのは無しにしよう。以後、砕いた口調で構わん。お前がロイド・ヴィルヴィハーデだな?」
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