第1章

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◆◆◆◆◆ 薄く瞼を開くと眩しい光が容赦なく差し込んでくる。 動きの鈍い頭で昨日の記憶を辿る。 旅行に来てたんだっけ……。 ゆっくり覚醒していく頭が左腕に軽い痺れを認識する。 その痺れに俺は安心感を覚える。 眠る時、俺が右側で美桜が左側。 どちらかがそれを望んだわけでもなければ、話し合って決めた訳でもない。 それは自然にそうなっただけのこと。 俺の左側で眠る美桜の頭を左腕で支えるのも別に美桜が望んだ訳じゃない。 ただ、そうしていないと俺が不安なだけ。 意識が覚醒している時ならば、美桜が少しでも俺の傍を離れたらすぐに気付くことができる。 でも、眠っている時にどこかに行ってしまったら、俺は気付ける自信がない。 いつだったか美桜に聞かれたことがある。
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