第1章

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「美桜」 「なに?」 「まずどこに行くんだ?」 「だから銀細工体験だってば」 「逆だ」 「え? なにが?」 「方向」 「は?」 「銀細工体験はこっちじゃなくて、あっちだろ?」 「そうだっけ?」 美桜は立ち止まると再びパンフレットを広げた。 「今いるのがここだから……」 パンフレットの地図と辺りを交互に見比べ 「ここに行きたいから……」 それでも地理が掴めないのか 「えっと……」 手に持っていたパンフレットをクルクルと回転させはじめ 挙げ句の果てには 「どっちに行けばいいんだっけ」 俺にパンフレットを差し出してきた。 「もしかして方向音痴なのか?」 「そうみたい。私も今、気付いた」 慣れ親しんだ繁華街から離れて、初めて判明した事実に思わず吹き出してしまった。 俺は方向音痴が判明した美桜に代わって、道案内係を買って出た。
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