第2章

8/14

51人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
学園の帰り道ーー 転移はせずに、この国最大のギルドへと向かっていた。 ーーーーー 遠目からでも見分けがつく。20年ぶりに見るその建物は、以前と何一つ変わっておらず、綺麗な白い壁に青い十字のシンボル。 これが十字架ではないと分かる人は、俺とリュウ以外にもういない。 「懐かしい…相変わらず、綺麗だ。」 そんな本音が、ポロリと口をついて出た。 「シオン様…。どうか、どうか…。 そんな悲しい顔をなさらないでください……。」 返答に困っていると、リュウは呟くように続けた。 「…私はいつまでも、シオン様と共に…。」 気配を消しているため、すれ違う街の人達は俺の存在に気がついていない。念のため、黒のローブを羽織って、右手を伸ばし、左手を右手に添えた。 その掌の先を、自分の部屋のあった位置へと向ける。 瞬間、右手を強く握り、呟く。 「     」
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加