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フードを被ったまま、来た道を戻っていた。
後ろではざわめく大勢の人の声が聞こえる。
懐かしい気配が転移してきたのを背中で感じながら、どんどんと歩みを進めていた。
「シオン様…」
リュウが心配そうに後ろをついてきている。笑って返した。
「いつまでも陰気くさいと、晩御飯はカレーライスにするぞ。」
「シ、シオンたまああああ!!!」
ボンッという音と共に、小さなドラゴンになったリュウは、ボロボロと目に涙を溜めて俺に抱き付いてきた。
「大好きでしゅ!!シオンたま大好きでしゅ!!!うわあああああん!!!!!」
小さな子供をあやすように背中をさする。
「はいはい、じゃあ今日はカレーライスだな。だから泣くな、ほれ。」
きゅ、といって必死に涙を止めるリュウ。小声で何か言ってるのでこっそり聞くと、
「泣いちゃだめ、シオンたまが嫌、だめえ、なっかな、いヒック。
泣かないんだ、なヒック…う……」
とかずっと言っている。
久しぶりに動いた気持ちに、リュウも気がついていたのだろう。トントンとリズムをとって頭をなでていると、いつの間にか腕の中で寝息をたてていた。
「カレーライス…。」
幸せそうに微笑んでいる。夢の中で食べているのか。
「…足りないのは、にんじんだな。」
リュウに消音結界を張り、市場へと足を運んだ。
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