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6人は夕食を食べ終わり、ウトウトとし始めていた。
数時間後ーーー
5人は眠りに落ちたが、1人だけ眠らない少年がいた。
「リュウ…あいつ、おかしいよね。」
「はい、学生にしては些か魔力が多い気がします、し……」
―――そう、些か、なのだ。
確かに多い気もするが、それだけなら目に留まらない。
問題はあの少年に、違和感をおぼえてしまうということ。
「なんだ、そういうことか。」
この違和感の原因を探して、思いがけないものが目に入った。
「あれはー…見たことの無い型ですが…。
封印具ですね?」
シンプルな指輪。
「あれは俺の作品だ。」
ハハッ
思わず笑ってしまう。
「魔力を半分に抑えるもので、トレーニング用だ。」
「半分…ですか。」
「不要になり、ギルマスに渡した。取っておいてくれたんだな。」
「ちなみに、当時、あの指輪を使えそうな方は、何人いらっしゃったんですか?」
「5皇帝と…7騎士でも何人かは、つけられたような。」
「ということは、あの少年……。」
「ああ。ギルド所属、それもネーム持ちと見て間違いない。」
あの少年とは面識がないので、俺が抜けた後、ギルドに入ったのだろう。
「リュウ、もうそろそろ夜が来る。俺たちも野営の準備をしよう。」
「承知いたしました。」
リュウが辺りをざっと見てきてくれて、俺たちは6人のいる場所から少し離れた洞窟で、夜を過ごすことに決めた。
「あの6人の様子が気になられますか?」
「…少しだけ、な。」
「彼についてお調べいたしますか?」
「いいや、必要ないよ。」
洞窟の入り口で、暗くなっていく空をただ眺めていた。
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