第3章

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少年は洞窟の気配に気がついたようだった。 警戒しながら、洞窟の奥へ入っていこうとする。 「あの少年…いくらネーム持ちといえど、異常に気がつくのが早いですね。 まだ完成していないので、魔力や気配など殆どしないはずなんですが…。」 「ああ、俺も予想外だった。 とにかく何とかして止めないと、面倒だな。」 「姿を隠して援護なされますか?」 「いや…それはやめておこう。 彼は普通なら気がつかないものに、なぜか気がついた。 その理由が分からない限り、身元がばれる様な行動は取らないほうがいい。」 俺は続けて考えたことを話す。 「今から森に残っている生徒全員の安全装置を作動させて学園に戻す。 学園の教師たちも腑抜けじゃない。 ダメージが蓄積されていないにも関わらず作動した安全装置と、なぜか2人の生徒だけ戻ってこない状況。」 「…正体を隠していることを逆手に取るのですね。」 「その通り。 即刻現場に教師が現れ、正体を晒せない少年は戦うことができない。 教師の手には負えないが、ギルドから支援されている非常用結界装置で魔物を抑えるだろう。」 リュウの言葉に頷いて続ける。 「あとは教師たちの意識を一瞬でも、他に逸らせることが出来ればいい。 あの程度、1秒あれば十分だ。」 「では…」 「リュウは安全装置を頼む。」 「承知いたしました、では。」 そう言ってリュウはすぐに目の前から消えた。 空中から地面に着地する。 ザワ、と木々が揺れた。 不気味な夜に目を細めた。
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