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第4章
~謎の少女 side~
少し古さを感じさせる狭い部屋。
古びた窓は十字架の形をしている。
そこから差し込む光が、ぼんやりと床に十字架を映し出していた。
簡素な机とベッド、そしてその上で体を丸める小さな影があった。
「ハッ、ハッ…。」
息が荒くなり、涙で視界が霞む。
「っ、くる、し…。」
最近起こることのなかった発作に油断していた。
…今は何時だろうか。
ゆっくりと時計を探す視界が、天窓から見える月を写した。
苦しさに潤む瞳が、月をより一層輝かせてみせた。
…ああ、今日は満月だったのね。
その影はゆるりと起き上がり、這いずるようにベッドからおりて、十字の光の下へ体を晒した。
現れたのは、長い銀色の髪、真っ白な肌。
とても幼い女の子だった。
そして少女は床でひざまずいて、胸の前で手を組んだ。
祈りの姿をとる少女、誰一人として彼女を見る者はいない。
…なんでかしら、今日は悲しく感じられ、っ!!!
突然、鋭い針で刺された様な痛みが体を襲い、少女の手首辺りが強く光る。
「っっ!!!!、」
声にならない悲鳴をあげて、体を丸める。耐え忍ぶ少女。
なに、これ…っ!月の葉-ルフォリア-!?
ま、さか…痛みではないの…?
痛みではない…これは…
「うっ……ああああっ!!あああああああ!!!!」
寒さに震えるように、揺れる体を抱きしめて、少女は泣いていた。
大きな涙をボロボロと流し、顔をひどく歪ませて。
「いっ…た…いっ、!」
手首に刻まれた複雑な模様が光っているのを確認し、彼女は確信した。
これが痛みではなく、あまりにも深い絶望であると。
少女は思い出す。
「…月が、臨む世界を……
世界の……イ、…。」
あまりの激痛に、少女はそこで意識を手放した。
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