第4章

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「うーん、本当に偶然、居合わせただけというか。」 垂直にジャンプして魔法を避ける。 そのまま高速で洞窟内を駆け回り続けながら、小さく詠唱をした。 「壊れた時-リナブル-」 少年は俺に向かい、叫んだ。 「答えてください!! 貴方たちはーーー 「「何者ですか?」」 トン、と人差し指で少年の額をつく。 瞬間、空気が動く。 「人に名前を聞くときは、まず自己紹介からですよ。 “有色の無帝”さん。」 驚きに目を見開いていたが、洞窟の天井に座り込み、動くことは出来ないようだった。 リュウと一緒に、天井に張り付いたままの彼らを見上げた。 いや、正確には見下ろした。 壊れた時-リナブル- 現在、過去、そして未来。 そのどれにも当てはまることのない、壊れた時空空間。 その中ではあらゆる法則もねじ曲げることができる。 例えば……重力の方向とかね。 洞窟の天井を床として歩くこと。 <来る前に移動したいな。> 普通なら暫くは動けないが、流石は早い。 <承知いたしました。> 「それでは、失礼いたします。」 シュン 洞窟の出口へと転移した直後、背後で凄まじい爆発音が聞こえた。 「あれはー拘束する気、あったのかな…。」
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