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「うーん、本当に偶然、居合わせただけというか。」
垂直にジャンプして魔法を避ける。
そのまま高速で洞窟内を駆け回り続けながら、小さく詠唱をした。
「壊れた時-リナブル-」
少年は俺に向かい、叫んだ。
「答えてください!!
貴方たちはーーー
「「何者ですか?」」
トン、と人差し指で少年の額をつく。
瞬間、空気が動く。
「人に名前を聞くときは、まず自己紹介からですよ。
“有色の無帝”さん。」
驚きに目を見開いていたが、洞窟の天井に座り込み、動くことは出来ないようだった。
リュウと一緒に、天井に張り付いたままの彼らを見上げた。
いや、正確には見下ろした。
壊れた時-リナブル-
現在、過去、そして未来。
そのどれにも当てはまることのない、壊れた時空空間。
その中ではあらゆる法則もねじ曲げることができる。
例えば……重力の方向とかね。
洞窟の天井を床として歩くこと。
<来る前に移動したいな。>
普通なら暫くは動けないが、流石は早い。
<承知いたしました。>
「それでは、失礼いたします。」
シュン
洞窟の出口へと転移した直後、背後で凄まじい爆発音が聞こえた。
「あれはー拘束する気、あったのかな…。」
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