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第5章
人の数だけ、性格が存在する。
卑劣、陽気、真面目、怒りっぽいなどなど…。
上げきれないほどあるだろう。
“人類はおおよそ、7つのタイプに分けられる!”
なんて豪語したオジさんは、吊るし上げられたとか。
俺から見たら全部同じに見えたりもするが、その中にごく、僅かな数しかないものもある。
全てを悟ってもなお笑い、優しくあるために強くなろうとする人間。
出会うのはとても難しく、存在もしにくい。
深淵に辿り着くだけでも稀なのに、加えて精神的な重みに耐えられる者など。
確率は限りなく0に近い。
だから、運良く会えても話にならなかったり、もう既に話すことができなかったりする。
人間は脆い。
精神だけではなく、肉体も同様だ。
例えば、目の前でうつ伏せになっている人の首は捻れ、顔は空に向いていた。
首が捻られただけで死ぬのだ。
開ききった瞳孔に、何を写しているのだろうか。
綺麗な空?
それとも、奪われた未来?
その人は、
もう人間を見たくない、と言っているかのようで、
いくら覗き込んでも目が合うことはなかった。
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