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人であったものを跨いで、先へ進む。
「すごい数だ。」
一体幾つの人生を跨いだことか。
古びた民家を横目に、最奥を目指して歩く。
立ち並んでいた民家が途絶えて、一本道へと続いていた。
少し進むと、そこには他よりも少しだけ大きな民家が、中央に建っている。
生き物の気配は、無い。
ただの木で出来たボロボロの扉が薄く開いていた。
「シオン様…。」
リュウに呼ばれ、中へ入ってみると、がらんとした広い空間。
床は所々物を置いてあったような形跡があり、誰かが生活していたのが分かる。
かつてあったものは全て、奪われてしまったのだろう。
そして唯一、左奥に小さな扉。
屈まないと通れないサイズのもので、この家の一部とは思えないほど、ここだけが頑丈に作られている。
手で押してみる。
ギィ、と音をあげてゆっくりと扉が開いた。
中に入ると、天井が低くて狭い、椅子が一つあるだけの空間。
「…遅くなって、すまない。」
首を垂れて跪く。
そこには滅多打ちにされボロホロになった、この村の長老が、吊るされていた。
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