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転移した先は、校長室の扉の前。これから、校長に転入の挨拶をするのだ。
ノックをしてから木製の扉を開く。
「失礼します。」
お辞儀をして顔を上げると、深い緑を基調とした部屋がそこにあった。
「ホホホ、ようこそ。」
部屋の中央に大きな机と椅子が置いてあり、そこに座る人物に懐かしさを覚える。ああ、変わっていない。白髪に優しそうな笑顔、柔らかい物腰。
「ワシはこの学園の校長、トム・アースじゃよ。」
ギルドネーム森の番人。
Sランクを越えた人物に与えられる通称で、先代の5皇帝の1人。
珍しい植物属性と相性の良い大地属性の2つ持ちで、かつて拘束系の技で最強と呼ばれていた。
引退後、世界トップの学園を創り上げた人物でもある。
「はじめまして。シオン・バトラーです。」
「うむ、話は聞いておるよ。この時期に転入は珍しいからの。」
「そうですよね。クラスで浮いてしまわないか、少し心配です。」
「心配は無用じゃ。転入者自体は少なくないからの。安心して学ぶと良いぞ。」
「ありがとうございます。」
「はて。後ろのお方はどの様なご関係かな?」
「あっ、すみません。ご紹介が遅れました。執事のリュウです。」
そう言い終えた直後、リュウが俺の前に立ちはだかりーー低く、唸る。
「……貴様、何の真似だ…?」
まずい、校長が使った探知の魔法がリュウの警戒心を逆撫でてしまった。
「…リュウ…!」
慌てていると校長がピシャリと言い放った。
「…人間では、ないようじゃが?」
ーー――ククククク
部屋の温度が一気に下がり、リュウがとても冷たく笑っている。校長を見ると汗が額を伝っており、あまり良いとは言い難い状況だ。
「…リュウ、大丈夫だよ。」
こちらを見て、威圧を止めたリュウの前に出る。
「すみません。まだ人に慣れていなくて…。」
「人に慣れていない…とな?」
ケッ、物分かりが悪いな、と言いながら、リュウが付け加える。
「人間界で言う“使い魔”というやつだ。」
驚きに目を見張る校長。
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