第1章

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第1章

森の中、猛スピードで移動を続ける影があった。1人のフードを深く被った女性らしき人影が、隣を走る人へ話しかける。 「…傷が今になって響いてきた。私が囮になるわ。後で合流しましょう。」 返事をした声は低く、男性のようであった。 「…この森を抜けたら、国境はすぐだ。」 女は黙り、前方を見据える。遠目に見える光は、間違いなく森の出口だ。だが、追手もあり確信が持てる距離でもないのは事実ーパシュンーーーーー 後方から伸びた糸のような細い光が、女の胸を貫通する。 「ッ…!!!!」 撃ち抜かれた衝撃でフードが脱げ、中から美しい銀の長い髪が現れた。 口から血が溢れ出し、その場に膝をつく女。 「アリアッ!!!」 女の後ろには、追手が見え始めていた。 しかし、迷うことなく駆け寄る男を見た女は手を振り上げる。 ブン―ー男と女の間に半透明の幕が引かれ、女は震えながらも、幕に手をつき、ゆっくりと立ち上がる。 「おい…?」 その横顔は敵を見据えていた。
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