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物語の舞台は、聖バジリスク大高等学校。というまぁ、由緒正しき高校です。
名前くらい位は聴いたことがありませんか?
ああ、空想の物語、なので。聞いたことがないのは当然かもしれませんね。
白い外壁に、印象的な校章。 十字架に絡みつくように描かれている蛇の模様。少し、いえ、かなり変わった校章は、学校の名前に因んだものでした。
ちなみに、バジリスクの意味はご存知でしょうか?
有名な魔法使いの少年の壮大な物語にも登場してきたあの蛇ですよ。
そうなんです。
一説によれば、蛇の上に君臨する主などと呼ばれていますが、ここを創った学園長。にはそんなもの関係なかったようですね。
元より、変わり者と呼ばれていた学園長ですから、今となってはこの学園名の所以などはお聞きすることはできないでしょう。
なぜか?
行方不明になってしまったのですよ。
学園長が。
ええ。
理由などはわかりません。
警察も必死に捜索いたしましたが。
一年前の春。七年が経ってしまったので。
学園長のご家族が、失踪宣告をなさったおかげで彼は社会的には死亡してしまったのです。
どこに行ったのかなどと説明するのはまた別のお話にいたしましょう。
ええ、私は知っています。
真相を。
でも、今、話すべき時ではないのですから。
少々、脱線してしまいましたね。
物語を進めましょう。
ここの高校には誰からも慕われる不思議な教師がおりました。
彼の名前は石神先生。 下の名前ですか? 忘れてしまいました。
なので、彼のことは石神先生とお呼びいたしましょう。
こちらのほうがしっくり来るのです。
彼は、問題児のクラスをうけおっているのにもかかわらず、一度も激したことはないのです。
かといって、生徒たちに匙を投げたわけではない。
激する代わりに、彼は静かな口調で説得するのです。
「君たちの不満はわかります。私も君たちくらいのころはそうやって反抗したものです」
不思議と反抗する気持ちが失せる語り口に、悪戯盛んで血気盛んな彼らは言葉を失くしました。
「ですが、そのようなことをしているといつか恥じるときはあります。何も正しくなれとはいいません。少々、悪くなってもいいのです。ですが、少しは利口になりなさい。そのようなことでは格好悪く、本物の悪とはいえませんよ? 」
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