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それでも、やんちゃを繰り返す生徒。
石上先生は、熱血教師のように熱く諭すこともなければ、長年培ってきたプライドを守る冷血教師のように沈黙を貫くこともありませんでした。
ただ、同じことを何度も繰り返すのです。
恥ずかしくないのか?
こんなことをして。
恥ずかしくはないのか?
格好悪いと。
石上先生の言葉を聞く生徒もいました。
でも、それはほんの僅か。
大半は、問題行動を起こす生徒ばかりだったのです。
そのうち、月日は流れーーー
彼らは三年生へと進級していました。
よく、進級できたな?と。
それも当然です。
なぜなら、校長先生が手を回し、彼らの学力をワンランク上げたからです。
それは、自分たちの保身のため。
三年生になっても、石上先生はそのクラスの生徒でした。
生徒はそこそこ勉強ができるようになってきましたが、平均点は著しく低いのです。
他のクラスからは、BAKAの巣窟となんともまぁ幼稚な仇名をつけられていたのです。
そんなとき。
そのバジリスク学園に女子生徒が転入する噂が届きました。
なんでも、その生徒はえらく優秀らしく。
全国の模試で堂々の満点を取り、天才少女というありがたくもない異名をつけられていました。
彼女の名前は、遠藤明日香。
何にも染められてない黒髪に、利発そうな顔立ち。そして、高校生とは思えないくらいの大人びた雰囲気。
転入初日。
石神先生は彼女を教室へ連れて行く前に柔らかい口調で訊ねていました。
「本当にこのクラスでいいんですか? 当初はこちらではなく、隣のクラスへ入ってもらおうと思っていました。ですが、貴女の希望はこのクラス、なぜでしょう?」
その問いに彼女は、小首をかしげ、高校生とは思えないくらいの妖艶な笑みで答えました。
クラスのざわめきは、もはやこのクラスしか聞こえません。
「それは、理由がなければいけませんか? ちょっと、噂のクラスが気になりまして、どのような生徒が集まるのか。好奇心から。そのような理由ではいけないでしょうか?」
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