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だから、ボクはいつもの通りに、
鍋用の豆腐二丁、と
言ったのだけど。
店番の弟さんが、真剣な顔をして、
こういった。
今日は帰んな。
ボクは不思議な事を言うヒト
だなぁ、としか思わなくて。
どうして?
豆腐買わないと怒られるし。
お前、二丁目の川崎さんちの
ガキだろ?
そうだけど?
どうして、分かったの?
お前の父ちゃん、
昨日、帰ってきたのか?
ううん。
出張だから、まだかかるって。
お父さんは出張がよくあるし。
お母さんも、いない方がいい、とか
いうけど。
お母さんは、お父さんを忘れない
為に。
湯豆腐を作るって。
いつも言ってる。
ボクは、いつもの豆腐が
イチバン好きだし、
どうしても。
ここで、買いたい。
ボクがどうしようか、と
思っていると。
たくさんの大人のヒトが、
奥に向かって入っていく。
弟さんと、同じスーツの
ヒトとか。
たくさんのヒトたち。
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