邯鄲之夢

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襖を開け窓辺に座る優真を見て、灯真は小さくため息をついた。 「阿兄さ……兄上、御身体に障りますよ」 生まれつき体の弱い優真を気にかける灯真の表情は、兄を心配する弟のものだ。優真はゆっくりと振り向くとニコリと笑った。 「これくらい大丈夫だよ」 ゆるりとした動作で窓辺から下りれば1枚の紙を差し出した。 「荒くれ者をどうにかしてくれって、俺に来たんだけど、ほら弱いからさ、死要と行ってくれないかな?聖羅さん達と留守番してるから」 にっこりと儚げに笑う、わかってはいてもこの顔にいつも灯真は負け、頷いてしまう。 「ではあまりご無理をなさらないでくださいね、兄上」
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