すてねこの楽園のうた

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捨て猫たちが 今日も捨てられる 捨て猫たちが 今日も拾われる わたしは昔 誰かに飼われていた猫 わたしは昔 誰かに捨てられていた猫 別に昔の主人を憎んでいるわけじゃないし 何なら今も 彼を愛しているわ 結局あれは ただの遊びだったの 結局わたしは いつも都合のいい女よ 散々可愛がられた挙句 用がなくなったらすぐポイってね 結局あなたは あの女を選んだのね 結局あなたは人間で 結局わたしは猫だったのね いいわ わたし今の生活にも満足している ノラ猫の暮らしも案外いいものね そうやって 強がってはいるけれど 何だかやっぱり 寂しいの わたしは捨て猫 飼い猫にもノラ猫にもなれない哀れな猫種 ねえあなた 聞いたことない? 世界のどこかに あるという 捨て猫たちが こぞって集うという 夢の楽園の話を そこは 捨てられ傷ついた 猫たちの 心と身体を癒してくれる とてもとても 素敵な場所 聞くところによれば そこへ行くと 新たなご主人も見つかるみたい わたしそこへ 行ってみて そろそろ次の ひとを見つけようかしら 今度は捨てられないように がんばるわ 捨て猫たちが 今日も捨てられる 捨て猫たちが 今日も拾われる ああ やっぱり来てよかった 想像以上に素敵なところね 山は悠々と 草花をはべらせ 海はようようと サンゴ礁を漂わせる 澄んだ空気は 都会のけんそうを忘れさせ どこまでも広がる大空は わたしたち捨て猫を見捨てず 大きく大きく 包み込んでくれる あら あなた わたしに興味があるの? ずいぶん変わったひとね でもわたしたち 気が合うかも 捨てるひとあれば 拾うひとあり 捨て猫たちが 今日も捨てられる 捨て猫たちが 今日も拾われる
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