ぼくらのヒーローのうた

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ぼくが幼い頃 憧れていた ヒーローは 実は 敵を鮮やかに切り 華麗にやっつけてしまう かっこいいやつではなくて 空を自由に飛べて 大岩をも持ち上げることのできる いかしたやつでもなくて 全ての注目を集めて 常に光り輝いている きらめいたやつでもなくて ぼくが幼い頃 憧れていた ヒーローは 実は 力は全然強くなくて もしかしたら敵に簡単にやられちゃうかもしれないけれど そもそもそいつには敵などいなくて 正義の味方でもなく ましてや悪の味方でもなく すべてのものの味方をし 自分をいじめるやつのことさえも 何か事情があるのだろうとのんきに考え すべてのものを友となすことのできるやつで ぼくが幼い頃 憧れていた ヒーローは 実は ぼくだけのためにいるのではないのだけれど すべてのもののために一生懸命で 皆のために 自分の持ちものさえ身体の一部さえ 分け与えてくれるよないいやつで 何があってもどんなことがあっても 決して誰も見捨てることのない 優しいやつで ぼくが幼い頃 憧れていた ヒーローは 実は ちょっとどころかだいぶ地味で 決して自分を華々しく飾り立てることもなく 影に徹して ぼくらを後ろで 縁の下で支えてくれて 誰もそいつのすごいところを見てくれなくても 誰もそいつをほめてくれなくても 今日もまたえらいことをさらっとやってのけてしまうやつで ぼくが幼い頃 憧れていた ヒーローは ぼくが今でもずっと 憧れている ヒーローは 実は 今日もどこかで 戦っている
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