カセットテープの告白 sideA

4/8
前へ
/152ページ
次へ
俺たちは同じスイミングスクールに通っている。 今は中三だから、もう十年だ。 選手コースだから毎日練習があるが、送り迎えのバスが来てくれるから平気だ。 今日は一カ月に一回の昇級テストの日で、昇級したらジュースを奢る約束を優としていた。 …結果ヤツだけが受かったわけだが。 2人がけのバスでは大抵兄貴が一人で座る。 補助席を出すほど混む帰りのバスで、堂々と2人分の席を占領して文句を言われないのはあいつくらいだ。 水泳の実力という意味でも、人徳という意味でも。 「今日はラブソングです。今日にぴったりでしょ?」 二人がけの席に座ると、優がカセットテープを取り出した。
/152ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加