カセットテープの告白 sideA

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あいつ兄貴が好きだったんだ。 知らなかった、十年も一緒にいたのに。知らなかっただけじゃない。 どこかで、優は俺のだと思ってた。 何の根拠もなく。 …でもそういえば。 このカセットテープは昔、兄貴が使っていたものに似ている。 もらったのか。いつ。なんで。 一つの考えが浮かんで、ずんと心が沈んだ。 まさか、違うよな? 俺に、聞かれたくないから、カセットテープなんか持ちだしてきたわけじゃ、ないよな? じゃあなんで今日なんだ。 今年最後の、昇級テストの日。十二月二十四日、クリスマスイブ。 告白するには、絶好の…。 無性にイラついた。
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