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ふと、数日前のページで手が止まった。
ページの下の方には書き留めたひとりの名前がある。それは、忘れる事はないだろうと思ってはいたが、何となく書いておきたくて認(したた)めたもので……。
二宮 拓夢
字を目で追ったら、自然と彼の姿が浮かんだ。
いつも爽やかな色のシャツを着ている二宮さんは、中身もとても爽やかな人。
優しい笑顔に低い声。
洋書をめくる繊細な指先。
少し伸びている、細く柔らかそうな前髪。
真剣な瞳が古い文字を眺める様子が、目の前に現れそうだった。
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