~彼女の想い~

8/62

24人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
数度呼ばれたのかもしれない。彼女の声がより大きくなった事で、ハッと我に返る。 『麻衣?大丈夫なの?』 「……ごめんなさい。大丈夫」 『本当に?』 「うん。大丈夫だから。手帳、明日持って行くね」 要子さんは、私の返答を疑っている様な声音で何度も平気かと尋ねてきた。 彼女は昔から勘が鋭くて、相手の些細な変化などもすぐ気づいてしまう。きっと私の今の様子も、分かっているに違いない……。 曖昧な態度で「大丈夫」「平気だから」と同じ言葉を繰り返し、私は逃げる様に電話を切った。  
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加