第1章

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まだ蝉の幼虫も出切らぬ夏の頃 あなたからある真実を聞いた あなたの今 あなたの過去 あなたの過ち あなたの努力 あなたの病気 あなたの愛する未来 全てを聴いたそのあとに わたしはあなたを愛おしく感じた しかしそれは 好意ではなく 同情のようなものだった 捨てられた子犬に抱くその感情 わたしがあなたを支えたい この感情はそこからくるものだった この感情が悪いということはない この感情を恋してるんだと 間違わせたわたしが悪い そしてまた この捨てられた子犬への愛から 家族に迎えた犬への愛へと 変貌を遂げたこと 同情ではなく確実に あなたを好きになっていたこと 自分の気持ちに気付けずに 自分を計り間違えていた そのこと自体が悪いのだ 今になって、いや 今になったからやっとわかる あなたのあの時の気持ち 想い、考え、心 それに気付けなかったあの頃のわたし どうしてあの頃のわたしを 今のわたしは一発くらい 殴り飛ばしてやれないのだろう どうしてあの頃のあなたを 今のわたしは一瞬くらい 抱き締めてやれないのだろう どうして どうして……
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