第1章

3/21
前へ
/29ページ
次へ
 白い壁に囲まれたベッド。  自分がいるのは、シミ一つない白いシーツのベッド。  明らかに、病室だった。  「薫、どこか痛いところない?」  考えてみると、頭と、握られているのと反対側の手が痛かった。  けれど、今はそんなことよりも。  「………あなた、誰ですか?」  知らない人に手を握られているのが、不思議でたまらなかった。  「………え?」  小さな声を発したその人を見ると、茫然とした顔であたしを見ていた。 
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加