第1章

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 尋ねると、お姉ちゃんは困ったように微笑む。  「車に轢かれたんだって。薫、4日間眠ってたんだよ?」  4日間、か。  お姉ちゃんが、小さくため息を吐いた。  「お父さんもお母さんも酷いよね、仕事行っちゃうんだもん、薫の緊急事態だって言うのに」  医師から説明を聞いた後、両親は仕事があるらしく慌ただしく行ってしまった。  「お姉ちゃん…は、大学は?」  尋ねると、ニッコリとお姉ちゃんが微笑んだ。  「うん、もうちょっと経ったら、来てくれる人がいるから、わたしは行くよ」  「誰が来るの?」  自分の祖父母とかが登場するのかな。  その人のことも忘れてるんだろうから、ちょっとだけめんどくさいかもしれない。  「瞬くん。薫の彼氏」  出てきた言葉は、大分予想外だった。
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