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「さてと…おい。そこの赤目の女」
さっきまでとはまるで雰囲気が違う声で喋り掛けてきた
「なに?」
私は警戒しながら返事を返す。少女を見ると、少し怯えてる様子だった。
男の口調が明らかに変化し警戒するのは当たり前だろう
「俺がここに来たのは、奴隷市場を潰す事と、もうひとつ用があった。それは、お前を助ける為なんだよ」
「私を…?」
正直、意味が分からなかった。どうして面識の無い私を助けに来たなど…そんな事を言うのか全く理解出来なかった
「わけは後で話すとして、俺と一緒に来てくれないか?」
男はそう言うと、私に手を差し伸べた。私がその救いの手に、手を伸ばそうか悩んでいると、少女が私に『お姉ちゃん…行っちゃうの…?』と、問い掛けてきた
その言葉で、私は決心がついた
「…私と一緒に来る?」
すると、少女は笑顔で『うん!!』と頷いてくれた
私が悩んでいた理由は、ズバリこの子だ
私と一緒に残っているという事はこの子も帰る場所が無いという事。
やはり、それが気掛かりだったため、私は、この人の手を掴もうか悩んでいた。だけど、一緒に来ると決まったからには、もう気にやむ必要は無くなった
「良いでしょ?この子も一緒でも」
「ああ」
そして、私は、男の手を掴んだその刹那、私の両腕と両足に付いていた鉄枷が溶けて地面に落ちた
「その方が動きやすいだろ?」
男は少し微笑んだ。私がまばたきをすると周りの風景が変わっていた
周りはもう地下牢では無く、煌びやかな部屋に変わっていた
「見つけてくれたか。シン」
「ああ。我が主」
男…シンが主と呼んだ人物は目の前に居る人なのだろう。…かなりの子供の様な容姿をしているが、気にしないでおこう
「美しい白い髪に、紅の瞳…確かに、生まれ変わりのようだな」
「?…何の話?」
「後ほど話すから安心しなさい。それと、君が汚された事を無かった事に出来るけど、どうする?」
汚された…ああ…そういうことか
「…出来るの?」
「出来なかったらこんな事は言わないよ。僕は」
「そう…じゃあ、お願い」
私がそう答えると、王(幼児体型)の目付きが変わったのがすぐに分かった
「時の神よ。この者の体の傷を戻せ」
その瞬間、私の体の傷や痣がまるで、時間を巻き戻す様に消えていく。
数秒後には全ての痣や傷が無くなっていた
「これで、君は生娘に戻ったはずだ」
生娘って…そんな言葉初めて聞いた気がする
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