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~速水~
速水慎一。加速の能力を持つ16の青年である。
そして彼は初めてのパラレルワールドの生活を体験している。
「蓮。何書いてるんだ」
「日記だ。あまりに突拍子もない事ばかり起きるからな。」
「…これはただの俺の紹介文だろ。」
俺は顔をしかめた。
そういえばなぜか俺たちが話すと教室がざわつく。
予鈴がなり俺が自分の席に戻ると、前の席の橋下が尋ねて来た。
…なんだろう。
「速水さんはまさか如月さんと仲がいいんですか!?」
その質問と同時に周りの奴らの視線が俺に集まった。
…なんで俺に敬語なんだよ。
俺は首を捻りながら答えた。
「まぁそうだな。」
また教室がざわつく。
ついに蓮ちゃんにも春が…?
でも速水様なら構わないかも…!
速水さん流石ッス…
くそ…流石は速水様だぜ…
俺の困惑は深まる。
この世界の俺って…何なんだ!?
蓮への評価が高いのはまだわかる。
あいつはルックスがいい。
姫川さんのような凄まじいほどの美しさではないが、艶のある長い茶髪に切れ長の目に美しい肢体。
だが持ち前の厳しい性格ゆえ、モテる事はなかったけどな。
それはともかく俺だよ。
男子からは羨望の眼差し。
女子からはうっとりとした視線。
……ニコッと笑って女子の一人に手を振るとたちまち黄色い悲鳴に包まれる。
……なんなんだ。
確かに見た目は悪くないと思うがここまでの人気を得られるとは思えないし…
その時先生が教室に入って来た。
同じく奥中先生、なんだな。
先生がコン、ココン、コンと教卓を叩く。
なんですかそれー、とヤジが飛ぶ。
「あはは…すいません癖ですよ。皆さんおはようございます。今日は連絡していた通り…」
先生の説明が続く中、俺は全く別のことを考えていた。
あの人は俺らが知っている奥中先生かもしれない…
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