序章 平和の終わり

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友達、家族…失うはずがないと思っていたものがある一つの事件でほとんど無くなってしまった… ~速水~ んー…流石に寝すぎたか。 登校時間までもう残り一分弱しかない。 あと1km近くあんのに… 「仕方ないかー」 俺は誰にともなく呟くと能力を使った。 『加速』 周りの景色がだんだん…そしてめまぐるしい速さへと変化した。 「よし…これで間に合うかな?」 「マジで!?間に合わなくなったからって加速使ったの?つかお前の能力ずりーよ!」 学校に間に合ったはいいが早速クラスメイトにバレた。そりゃ入口付近で高速の俺とすれ違えば気づくか… 「戦闘ではあんまり使えないぞ?」 「ばっか。今休戦中なんだから能力なんて日常で使えた方がいーだろうが!」 火を起こす『発火』の能力を持つ赤坂 涼が呆れたように言った。 「お前の能力だってキャンプファイヤーとかで便利だろ?」 「キャンプファイヤーしたことねぇよ?」 (生まれながらに持って生まれる能力。こればかりは運命だ。子が親を選べないのと同じと言ったところか。) 「んー?」 涼が周りを見渡す。 俺もつられて周りを見るが声の主らしき人が見当たらない。 「おはよう。二人とも。朝から元気だな」 その時クラスに入ってきた如月 蓮が俺達に手を振った。 「あれ、蓮~。能力開花?」 涼が手を振り返す。 (あぁ昨日な。そしてこれが私の能力。) 口を開かず俺達に話しかける蓮。 「腹話術か…」 神妙な顔で頷く涼。 「そんなわけないだろう。」 蓮がそんな涼を呆れた目で見る。 「うん。それは能力じゃなくて特技になると思うぞ?練習すれば出来るし…」 多分、蓮の能力は… 「『テレパシー』だな?」 蓮が少し笑って頷く。 「さすが速水だ。涼とは頭の回転が違うな」 「涼が阿保過ぎるだけだって。」 「あぁ酷いなぁ…フォローしてくれよ。」 蓮と涼は幼馴染だ。 いつも毅然としていて他人にも自分にも厳しい蓮だが涼にはふざけたことを言ったりもする。 そういえば二人は付き合ってるのかな? 「席についてーはい座ってー」 っと先生がようやくお出ましか… こうしてこの日はいつものように何事もなく始まり、何事もなく終わるはずだった。
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