序章 平和の終わり

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奥中先生。担任の名前だ。 飄々としながら武術鍛錬時、生徒を片手で完封するところから仙人というあだ名がある。 先生はコン、ココン、コン、と教卓を叩くと 「今日も平和ですね。平和なまま終われるように皆さんおとなしく過ごしてくださいね」 と、朝礼でいつものように挨拶をすますと時計をちらりと見た。 「授業までまだ少しありますね。教材とかの確認をしてくださいね。」 …んー微妙に暇なんだこの時間。 喋るのもなんか億劫だしなぁ… (速水、速水!) 突然、蓮の声がする。 「なんだよ?っていうかどこだ?」 辺りを見るが蓮は見当たらない。 あぁ自分の席にいるじゃん。 「こっちの声、聞こえてんのかー?」 (問題ない。声に出さなくても念じてくれれば伝わるぞ。私のテレパシーはキャッチボール式なようだな。) (ん…?んー…。で、要件何よ?) (そのことなんだが…武器を二つ所持してないか?私の武器を忘れてしまってな…) 「はぁ!?」 思わず声に出してしまった。 「…なんだ?」 あーもう!隣の滝口に睨まれたぞ… 「いやぁいい天気だなと思ってさ。」 「…まぁ問題がないのならいいが…静かにしろよ?」 うん。ごめんね。 (武器って…予備の剣なら持ってるけどそれって人に借りたもので武術鍛錬こなせんのかよ?) (私を誰だと思っている!) (武器持ってないのに威張るんじゃねぇよ) 全く… つか俺の剣普通のよりも長くて少し重いから蓮には合わないと思うんだけどな… (だから私を誰だと思っている!) そうか…念じれば通じるということは考えただけで相手に分かっちゃうのか…不便な能力だな。 (ふむ…お腹空いたな…) ……聞こえてるぞ (取り敢えず剣は後で渡すぞ。あと朝飯はしっかり食え) うっ! 何気ない一言だったがキッと蓮がこちらを睨んだ。 うん。デリケートな問題には突っ込むべきではないな。
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