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刻印者って…
「なぜだ…?」
滝口が驚いたように飛んで来るそいつらを見る。
続いて体育館の方からも爆音が聞こえる。
刻印者…
あれ、なんだっけ…
俺たちの世代は戦争時に生きてなかったから刻印者への認識が薄い。
(片目が生まれながら赤く染まっている者たちで性格が凶暴な種族…そして人間達と昔から戦争を繰り返していた。彼等はしまいには化け物へとなってしまうとも言われている。)
(蓮か?)
(あぁ。無事か?)
(そりゃ今は校庭にいるんだからな…)
(それは良かった。それと涼を見なかったか?)
(一緒じゃなかったのか?)
(なんだ…速水も知らないのか…)
不思議そうな蓮の声とともにテレパシーが切れた。
涼…?
「ウォォォォ!」
刻印者が咆哮を上げた。
「皆さんは即刻避難して下さい!」
奥中先生が剣を抜き叫んだ。
「くそ!何がどうなってるんだ!?」
誰にともなく叫ぶ。
あたりは軽いパニックだ。
「速水」
滝口が俺をいきなり殴った。
ちょ…いきなり何するんだよ!
「落ち着けバカ。こういう時に慌てたら死ぬぞ。」
いや…それは分かるがそれ以前に叩く力強くないか?
あ、そうだ…
「滝口。涼を見なかったか?」
「赤坂か…?いや、見てないな。まさかいないのかよ?」
滝口が校舎の方を見る。そういえば刻印者が来ないな。
「滝口…俺ちょっと校舎見てくるよ。」
「死ぬぞ?」
「このにいても生存できるとは限らないだろ。何もしなくても殺されるかもしれないんだ。せめて出来ることをしなくちゃな。」
「まぁ…そうか。なら……俺は出来る限り刻印者と戦ってこの辺りの皆を守ろう。そのうち騒ぎに気付いた人々が援軍をよこすだろう」
滝口が拳をまっすぐ出した。
二人の高校生の拳がコン、と触れる。
『達者でな』
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