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~速水~
酷いな…玄関は崩れてしまっているし、中もボロボロだ。
所々に生徒の死体があるのが余計に辛い。
「刻印者め…」
「しかし案外静かだな。もう校舎の中にはいないのかな?」
俺がそう言い終わるかどうかのところで校舎の奥から轟音が聞こえた。
「そんな事もないようだぞ速水…」
蓮が小さく呟いた。
「不安なら蓮はここで待ってても…」
「バカもの!そんなわけにはいかないだろう」
蓮はあくまでついてくるつもりらしい。
まぁ何かあった時は俺が…
「速水。取り敢えず教室に行くぞ。」
蓮がこちらを軽く振り返って言った。
なるほど、教室か…
確かにこんな時に校舎に戻るってのは教室に忘れ物したとか、かもな。
だが結局 俺達は教室にまでは至らなかった。
「あれは…」
俺は廊下で誰かと話している人影を見つけた。
いや…言い争ってるのか?
涼だ。
「りょ…」
「待てっ!」
涼を呼ぼうとした蓮を慌てて止める。
涼…誰と話しているんだ?
涼は青ざめて…赤くなった。
そして身体から炎を出した。
『発火』だ。
そして廊下の陰に飛び出して行った。
「追うぞっ!」
「無論だ!」
俺達も慌てて後を追う。
「涼!」
「慎一!?」
涼が驚いた様子で俺の名を呼んだ。
「なっ…こいつは…」
蓮が息を飲む。
相手は…刻印者だ。
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