序章 平和の終わり

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「涼!なんだよこいつは!」 「慎一、ワリィ…忘れもん取りに行ってたら急に襲われたんだ。」 ……? 「そうか。取り敢えず助太刀する!」 なんで嘘をつくんだ? こいつと話してたじゃないか…なぜそれを隠すんだ? 「あーあ、3体1になっちゃったね~僕も流石にちょいと厳しいかなぁ?」 「お、お前話せるのか?」 いや、よく考えると今の俺の質問はおかしいな。 さっき涼が話していた相手は多分こいつなんだから… 「君達…僕達を獣かなんかと勘違いしてない?僕達は片目が赤いだけで普通の人間と同じ… 刻印のおかげで身体能力は高いけどね~」 その刻印者が心外そうな顔をして説明してくれた。 「だけど理性のない奴もいるだろうが!最後には化け物になるって…」 その時、後ろからもう一人、刻印者が走ってきた。 咆哮を上げ走ってくる刻印者。 「あぁ…あーゆーやつね。」 男は走ってきた刻印者を片手で止め、地面に叩きつけた。 「刻印の力に呑まれ暴走した刻印者は不良品だね。弱いしさ。まぁ化け物になるまで刻印が暴走したらちょっと面白いけど」 同じ種族なのにあんなに躊躇わずに殺せるのかよ。 「君達だって罪人は殺すでしょ? それと同じ。」 そろそろ話すのも飽きちゃったなぁ。そう言うと男は微笑んだ。 「一応名乗っとくよ。 僕は刻印者のフィオ。僕らの正義のため君達を殺すよ」 フィオが細剣を構える。 「く…」 「行くぞ!」 涼が短剣を、蓮が刀を抜いた。 俺も両手に剣を持った。 「さ、行くよ~」 フィオが言うと同時に姿が消え、 俺の真後ろから斬りかかってくる。 「なんだとっ!?」 蓮が慌てて後ろを見た。 スピードは流石だけど、『加速』の能力使いの俺の動体視力なら見えない速さじゃない。 「双剣技、乱旋風」 軽く一回転してフィオの細剣を弾いた。
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