第1章

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それは、小学生の時のある日の出来事だった。 「あ、ごめん。今日はちょっと無理かな」 と、遊びを断られた。仕方ないことなのだが、何か違った。 その子は友達と遊んでいた。のに、僕には遊べないと言った。 それは、友達の為。その子は別に遊んでも良さそうだった。 「今日は、ごめん。またね」 避けられていると、初めて自覚した時だった。 そんなことを何度も思い出してしまう。暗い時は特にだ。 前は、明るかった。「前は」。 今は、逆に暗い。高校に入ってから、友達も出来ていない。 何故僕はこんな風になってしまったのだろう。と、落胆する日々。 自分のせいだと分かっていても、認めれなくて。 これは甘えなのだろうか、それとも病気だから? そんなことを自問自答しても意味ないというのに。 あの、明るかった頃に戻りたい。でも、もう遅いかも知れない。 そうやって、下を向く。一歩踏み出すことさえ不安で出来なくて。 悲劇のヒロインのつもりだろうか。自分の弱さに気付いていて何も出来ない。 いや、しないんだ。怖くて、不安だから。でもこの世界ではそんなの通じない。 通じるはずがないんだ。だから沢山怒られてきた。今思い出しても胸が苦しくなる。 そうやってまた、殻に閉じこもってしまっている。 今日、これを書き出したが、何とも落ち着かない。落ち着く訳ない。 だって高校を「休んでしまった」のだから。休みたくなかった。 いや、休んではならなかった。このままではいけない。 分かっているのに、出来ない。僕の心はいつも不安で満たされている。 へたれで、そのうえ泣き虫。こんな僕が生きていてもいいのだろうか。 死にたくはない。だけど、「この世界では生きていけない」。 そう、この世界では僕、つまりアスペルガーは生きられないのだ。 生きてはいけるけど、辛くないことはない。皆アスペルガーの人は辛いと思う。 僕は症状が軽いらしい。だが、僕からしてみれば母の方が軽い。 勉強に問題もなく、完璧主義な母は、社長からも好かれている。 こんなだめだめな僕の親には勿体無いくらいだ。それなのに、母は言う。 「まだ、まだ出来てない」と。自分の限界を知らないのだろうか。 僕も努力したい。普通の人みたいに。でも、してない。
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