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『本当に悪かった。もう浮気はしない。絶対にしないから』
帰宅した敦郎は血相をかえて、私の足元に屈した。
『だから離婚だなんて言わないでくれ』
なんだか違う。
私が愛した敦郎は、こんな風に惨めたらしくなかった。
『チャンスを。やり直すチャンスをくれ。朱美、愛してるんだ。愛してるんだよー』
敦郎は私の足に抱きつき、涙を流している。
「やめてくれる?荷物まとめたから出ていって」
足元にいる敦郎を見下ろし、自分でも驚くくらいの低音で言い放った。
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