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「…………DV、ドメスティック バイオレンス。夫婦間であっても同意が無い場合、適応される」
敦郎の手はとまり、私の顔を見上げた。
「離婚協議中の私達には適応される。そして立証されれば、あなたは刑務所行きよ?」
私が私で無くなった瞬間だった。
愛が凍りつき、私の心は合ってないようなもの。
『…………朱美。愛してるんだよ』
私の愛した敦郎はいない。
「早く出ていって」
敦郎に背をむけ、寝室にむかった。
寝室には二人で寝ていた大きなベッド。
視界が歪み、頬を濡らす冷たい滴。
ドガッ!
『朱美、覚えてろよ!オマエに金なんか一切やらないからな』
寝室のドアを蹴り、捨て台詞を残し敦郎は出て行った。
最後くらい、私の愛した敦郎だったなら…………。
私の愛は完全に凍りつき、そして音をたてて割れた。
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