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ぽつんと残されたスタジオで、どうしたものか考えていると三和廣人が戻ってきた。
「あ、三和さん。橘さんに会いませんでした?」
「修二なら体調悪いって言って帰った」
「え!やっぱりそうだったんだ…」
走って出て行ったのは、気持ち悪かったのかもしれない。
すごく心配…………でも、
「さ、続きやりましょうか」
私は三和廣人のレッスンに来ているのだから、きっちりやらなくては。
そう思ったのに、三和廣人は楽譜を片付け始めた。
「レッスン終わりですか?」
「あぁ、悪いが先生には修二の部屋に行ってもらう。支度してくれ」
「え…なん…で」
「俺はこのあと仕事。修二の姉さんは今日帰れないらしい。だから修二の看病を頼む」
送って行くから、と言ってスタスタ歩き出す三和廣人を慌てて追いかける。
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