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「い、嫌がらせとは何ごとよ! これはあんたへのプレゼントよ!」
「……それ、俺に死ねって意味?」
「なんでそうなる!?」
「机に花飾るとか、嫌がらせ以外の何なんだよ。……いや、それはもう花じゃないか。アートフラワーで花を萎れさせるとか、ある意味マジシャンだよな。すげーよ、おまえ」
机の中からプリントを一枚引っ張り出すと、貴也は私には見向きもせずに黙々と何かを書きはじめた。
なんてことだ。
明日が誕生日の貴也のために私が企画したサプライズを台無しにされた挙句、プレゼントに難癖をつけられるとは。
せっかく教室から誰もいなくなるまで待っていたというのに……。
──ハッ。
誰もいない放課後の教室。そこに少年とうら若き乙女が二人きり。
ここ、これはもしや。禁断のあらぬ展開がっ。
「あるわけねーだろ。おまえ、いっぺん脳みそ通してから喋れ。マジで」
「またサイコパワー使ったわね!?」
「使うか、ボケ。病院行って来い」
冷ややかなその表情が妙にそそる……じゃない、胸に突き刺さるわ。
貴也はそのまま挨拶のひとつもなしに教室から出ていった。
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