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私はといえば、腕組みをして机の上に置かれているアートフラワーのブーケを見つめた。
おもむろに携帯電話を取り出し、ベストポジションと思われる角度からブーケの写真を撮る。
それを親友にメールで送ってみたら、返信はすぐに来た。
【沼の底。あるいはブラックホール】
むっ。何だ、この単語の羅列は。
いや、そうだな。
そもそも面倒くさがりな彼女に、メールでの返信に過剰な期待をすること自体が間違っていたな。
やはりここは電話するしかないだろう。
「ちょっと! 意味が分からないんだけど。ちゃんと私の送った写メ見てくれたの!?」
「見たわ。だから、沼の底かブラックホールのようねと率直な感想を述べたまでよ」
電話の向こうから至極冷静な声が返ってきた。
「両者の共通点が分からないんだけど!」
「分からないの? 困ったちゃんね。ところでそれ、ほんとうは何なの?」
ほんとうはって、どういうことだ。
「ブーケよ。見て分かるでしょ。貴也の誕生日プレゼントにあげようと思ったの」
「見て分からないから訊いたのよ。ブーケねぇ……。私は他の物にすることをお勧めするわ」
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