大蜘蛛

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カチッ カチッ ..... 「っはぁああ~ うめー...」 夜も明けて窓から朝陽が差し込む中、丸々1週間かかった仕事を終えた俺は、久々に吸う自室での煙草に幸せを感じている。 床に足を伸ばしパイプベッドに背を預け、心から思う。 生きて帰れて本当に良かったと。 仕事と言っても特に給料を貰えるわけではなく、寺に住み込みで置いてもらい不定期に舞い込んでくる厄介事を片付けている。 厄介事とは主に妖怪が関係している事件やらを解決する作業。 俺はやり方がまずいから、ほとんどが退治になってしまうけど...とにかく修行には、なるかな。 「今回はさすがに死ぬかと思ったなー。あのクソじじい、修行っつっても面倒な事ばっかり回してくるしよ!」 安堵したことで蘇る腹立たしさを短くなった煙草に込めて灰皿に押し付け消した。 あちこち痛む体を休ませるために軽く腰を上げ、寄りかかっていたベッドにゴロンと体を転がす。 その弾みで所々破れた服がまた軽く音を立てて少し破れたが、構わず横になる。 騒がれたくないから、なるべく誰にも見つからないように「近々戻る」とだけ連絡を入れて自室へ直接帰ってきたのだ。 風呂や着替える気力も無く今はただ自分の一番落ち着く場所で眠りたい。 睡魔が降りるまで目だけをゆっくりと動かし部屋を眺めた。
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