序章―絶望の始まり

10/20
前へ
/291ページ
次へ
「体育の能海 筋道(ノウミスジミチ)だ!陸上競技が専門で、日本記録をいくつも持ってマッスル!」 ガハハハハと豪快な笑い声と共に立ったのは体育の能海だ。色黒で、強靭な筋肉のせいか近い年には見えなかった。 「184㎝の78キロでございマッスル!こんな大きいけど16歳でございマッスル!」 能海は名札の色が違う。僕らは白が基調の黒文字だが、能海は黒が基調の白文字だ。よく見るとさきほど紹介してくれた百合ヶ丘も、まだ紹介してくれてないあとの数人もその色だった。教科を見るに実技系と机上系の分類か? 「好きなプロテインはチョコとストロベリー味でございマッスル!」 「堀家 響子です。わ、私は、なんで家庭科の代表に選ばれたのか分からないぐらい普通なんですけど、皆さんのお役にたてるように精一杯頑張ります。」 なぜか着用していたエプロンを見るに、家庭科という教科の特性上やはり家庭的な女の子なのだろうと想像してしまう。見た目がすべてではないと思うがやはり出てしまうと思った。 「裁縫は道具がないのでできませんが、お料理はキッチンがあるのでたぶんできると思います。よろしくお願いします。」 礼儀正しい女の子、そういう雰囲気を感じた。
/291ページ

最初のコメントを投稿しよう!

307人が本棚に入れています
本棚に追加