序章―絶望の始まり

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「ゴホン、あーあー。自己紹介が終わったところでー、なんで君たちがここに閉じ込められたのかを説明してあげましょう!」 声が船中に鳴り響き、みんなが無意識のうちに構えた。机中央が突然開き、モニターが現れた。中には黒く染められた人の影。 「えー、君たちがなぜ閉じ込められたのか?……それは、リアル人狼ゲームをやってもらうためです!」 「おい貴様!何をふざけたことを抜かしている!」 モニターに向かって叫んだのは焔院。叫びたい気持ちも分かる。イライラしている状態でリアル人狼ゲームとか言われて、確かに帰せと言いたくなる。 「リアル人狼ゲーム?ふざけたことを言ってないで俺達を解放しろ!」 「うーん、君鬱陶しいね。ほいっと♪」 その瞬間、焔院が倒れた。 「焔院!?」 駆け寄って確認してみるが、息をしていなかった。そして、ひたいには赤い跡が残っていた。 「息をしていない……!?」 「な!?」 亘理が駆け寄り、僕の変わりに確認するが、黙って首を振られた。 「これで察してくれるとありがたいんだけど、僕は本気だよ?」 目の前で一人死んだ。そんな異常な状況を前にして僕たちはなにも口にする事は出来なかった。
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