序章―絶望の始まり

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目が覚めると知らないベッドの上にいた。いや、ベッドだけでなく部屋まるごとだ。知らない天井、知らない家具、知らない壁、半開きの知らないドア。 「ドア?」 閉じ込められたのなら分かる。通学路で誘拐されてそのせいで記憶が飛んでいるのだろう。 だが実際、ドアが開いている。閉じ込められたのなら不可解すぎる。手も口も縛られていない。 「とりあえず出てみるか……」 部屋を出ると男女を含めた数人が待っていた。 「ふむ、起きたようだな、『学級委員長』。」 「ちょっと来て頂けませんか、学級委員様長。」 学級委員長という呼び方に違和感を覚えた。確かに学級委員長はやっているが、なぜ見ず知らずのこの人達が知っているのだ。 「まず名前を教えてくれませんか?いつまでも学級委員長では呼びづらくて。」 ふと自分の胸元を見たらネームプレートに学級委員長と書かれていた。これを見てか。なるほど。 「僕は鈴木 学(スズキガク)。あと君たちの名前も教えてほしい。」 この人達のネームプレートを見ると歴史、古典、外国語、生物と書かれていた。 「歴史科の焔(ホムラ)だ。」 「古典の新垣(アラガキ)と申します。」 「がいこくごのサン・ジェルマンです。」 「生物学科の亘理です。」
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