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にゃん!にゃん!にゃん!
隣の女性が差し出した手を、太股を、胸を踏み台にし、そのたびに何か鳴きながら頭の上で止まる子猫。
いったいなんなんだ、この猫。
頭に手を伸ばし、落ちないように支えながらまた屋上、へりに近寄る女性。たしか小鳥さんと言う方。さっき仲間の人がそう呼んでいた。
「落ちないようにね。」
心配する様はまるで母親のようで。
子猫もその手に頬をすりよせ、よく懐いている。
ずしん。ずしん。
いい加減、聞き飽きたその地響きに身体が揺れるのを感じる。
坂の下から顔を覗かせる先ほどの巨大な牛、数十頭。その各々の肩にはなにやら異形の者を乗せ、迫ってくる。
太陽を覆う大きな影に、空を見上げる。
そこには大きなカラスの姿。大軍を成し、飛び回っている。
まさに絶望的光景でありながら、まるで緊張感が浮かばないのは、その光景よりもはるかに異質な一人のおっさんのせい。
その男がなにやら呟き始める。
呪文・・・なのか?
「かぁ~、原発使えねえか見にきただけだってのに、生き残りにゃあうわ、残党にあうわ、全くおんもしれえなぁぁぁ!?
いいぜいいぜいいぜいいぜ・・・
ひさびさにやってやるよ、見せてやるよぉぉ!!
ここから始まる新世界。
ここで終わらぬ新世代。
今から始まるパーチータイム!
これから続くパーリナイッ!
どうせアホなら踊らなそんそん
同じアホなら踊ってみせよう
だんしんおーるないっ!ふぃーばー!
ハイッパーおっさんタイムのぉっ!
はぁじまりだぁぁぁあ!!」
「・・・何言ってんだ、あの汚いおっさん?」
隣に並んだスレンダーな美女が呟く。
そこに並んだ三人が、全力で頷いた。
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