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パララララパララララ。
パララララパララララ。
ひたすらに撃ち続けるも、無情にも増えていくゾンビ共。
ゾンビの群がる鉄条網は、たわみ、今にも倒れそうだ。
どこか一つでも破られれば、そのときは終わり。
そう思いながら、どうすることもできず、ただひたすらに撃ち続ける。
がしゃあん!
そのときは思っていたよりも早く。
連鎖し、倒れていく鉄条網。
がしっ。
ゆうすけの左肩に手を回し、肩を貸しながら撃つ。撃ち続ける。
「これ、リュック。中にマガジン入ってるから、私が抜いたら差し込んで。」
片手で二丁は不可能と判断し、一丁を投げ捨てる。空いている左手で撃ち続けながら、少しずつ基地施設へと移動する。
かしゃん。
しゃこん。
記憶は失っても、理解はしてくれたようだ。
新しい弾倉に交換し、また撃ち続ける。
すでに前方の鉄条網は全て壊された。
入ってくる数は増すばかり。
秒間10発以上の連射力、そしてその一発一発で確実に一匹一匹を仕留める、その力があるからこそ、ぎりぎりゾンビとの距離は維持してきた。
だがそれも限界が近い。
直に弾が無くなる。
そのときが、終わり。
生きる覚悟と、死ぬ覚悟を同時に決め、なお撃ち続ける。
その手が、一瞬止まる。
・・・・・・ああ。
これが絶望か。
基地前の坂を登ってきた、巨大な姿が目に入ったとき、全てが終わったと、感じ、なお、また撃ち始める。
見えてきたものは、角。巨大な二本角。
牛の頭。巨大な頭。
二足歩行の、牛。
家ほどもある、牛。
それが、列をなして、登ってきた。
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