希望と絶望。絶望と希望。

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プッシャァァァァ!! 空高く吹き上がる鼻血。 水平に飛び散る耳血。 滝のように流れる血涙。 全身のありとあらゆるところから吹き出るその血潮は、まるで業火のようにその男を包み込んでいく。 「・・・いってええええ!! ひさびさすぎて、興奮しすぎたぁっ!! 死ぬぅぅぅ!!」 「・・・え?え?ええ?あの人、なにがやりたいんすかっ!?ガチで死ぬ量っすよ!?」 「・・・わかるか、バカ。 だけど、あれ・・・ ゆうすけの限界突破に似ている。」 少年とスレンダー美女とが呟く。 ゆうすけって、俺だよな・・・? 「つっうぅぅぅかく遮断っ! 全身駆動よぉぉぉしいっ!! いっくぜぇぇぇえっ!!!」 ごばんっ! アスファルトの大地を陥没させ、文字通り消える男。 炎のような赤い血潮が作り出す道のみが彼の動きをこちらに伝える。 ぼっ!ぼっ!ぼっ!ぼっ!ぼっ! その道が、ゾンビや巨大な牛や異形に伸び、その道に触れた端から消えていくそれらの上半身。 ぼぅっ! その道は空にまで伸び、そこを舞う大カラスのもとへと到達。 つながれていく大カラスの点と点が、やがて線となり、道となっていく。 「あは、あはははははは。」 笑い出す、胸の大きな女性。たしか小鳥さん。 最早、人が理解できる範囲ではないのだ。 理解しようとすれば恐慌をきたすかもしれない。それほどの異常さ。 不気味ですらあるそれは、ひたすら道を描き続け、やがて残されたものは、赤い世界とそこに倒れる物のみとなる。 ズガアアアアア!! 血煙を盛大に上げながら、男が止まる。 常人の何百倍もの量を出血しているはずなのに、いまだ吹き出続ける血液。 「やべえ、ひさびさすぎて、止め方忘れてそう・・・ えっと・・・母ちゃんの身体母ちゃんの身体・・・御歳70歳の母ちゃんの身体・・・。」 止まらない血液。 「ちょぉぉっ!やべえっ! 誰か止めてっ!!」 ただの一歩で地上から屋上へと飛び上がり、着地し、叫ぶ。 「と、止めてたって、俺たちそんなの知らねえっすよ!!」 「ミカオ、偉いっ!よくそんな気持ち悪いのと喋った!」 「ちょぉぉぉっ!ほめるとこ、そこぉ!?」
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