プロローグ

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「アハハハ! 流石は落ちこぼれ 人間を召喚するなんてな!」 馬鹿笑いが響く。 奴の名前はサイオス・ショーエン。 貴族だ。 いつも取り巻きに囲まれ、俺を馬鹿にしてくる奴。 大っ嫌いな奴だが、俺は言い返せる立場じゃない。 「貴族じゃないのに、貴族を名乗るのはもう辞めたらどうだ? ハーディネス家はもう絶えたんだ 貴族とは赤の他人のお前に、何ができるっていうんだ?」 その言葉が胸に刺さる。 昔、ハーディネス家の血が根絶した。 それは当時の当主が、結婚もせずに養子をとったからだ。 貴族としてその立場を返上し、ハーディネス家は一国民になった。 それなのに、こうしてそれを他の貴族達に詰(ナジ)られる。 フープジオン三大貴族の一つだったからこそなんだろうけど、俺がどうこうできる問題じゃない。 当時の当主はもういないのだから、何故そんな事をしたのか分かる筈もない。 色々伝わっている話はあるけど、俄には信じられない。 それに、どうだったにしろ、それは昔の話にすぎないのだから。
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