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懐かしいあの場所へ
私達はチクタクの森の近くの別荘に帰りました。
あの日から一体どのくらいの歳月が流れたのかわかりませんが、別荘は私達の記憶のままでした。
私達の事情を知ってるのは、クリストファー一族の者だけです。
私達は、別荘を譲り受けた遠縁の者とされていました。
落ち着く間もなく、シュゼットの采配で、私とチャールズ、シュゼットとクリストファーの結婚式が執り行われました。
私達は、結婚しても同じ屋敷で暮らし、二年後の一月違いで子供にも恵まれました。
私の子供は女の子、シュゼットの子供は男の子です。
別荘に戻った日に、私達はまず倉庫にチクタクを納めに行きました。
その時になって気付いたのですが、私達にはもうあのチクタクの音は聞こえません。
それに、私達のチクタクはいつの間にか分裂し、丸い二つの時計に変わっていました。
うさぎは私達のチクタクが直ったことにたいそう驚いていました。
「良いか、いくらここへの入り口を知ってるからって、勝手に入って来るんじゃないぞ!」
「もちろんよ!こんな所、二度と来ないわ!
今日はチクタクを持ってきただけ。
もう、ぜーーーったいに来るもんですか!」
シュゼットはうさぎに向かって、子供のように、あっかんべーをしました。
私ももう二度とここには来たくはありません。
ここに来たばかりに、大変なことになってしまったのですから。
私達は、子供達にチクタクの森には行かないように、それだけは特別厳しくしつけました。
私達のような過ちは、絶対に繰り返してほしくありませんから。
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