失恋

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「別れようぜ」 「え」 「俺、もうお前のことは信用できねぇ」 そう言ったいっくんこと壱也(イチヤ)くんは、呆然とするわたしにくるりと背中を向けて、そのまま足早にこの場を去っていった。 いっくんに呼び出されてここへやって来るなり切り出された別れ話。 話し合う……じゃなくて、一方的に別れを告げて、わたしの意見なんて全く聞こうともしなかった。 もしわたしが「別れたくない!」とすがったとしても、きっとそれは聞き入れてくれない。 いっくんの表情を見てそう思った。 付き合ってもうすぐ1年を迎えようとしていたわたしたち。 喧嘩が多かったわけでもなく、冷めた関係だったわけでもない。 寧ろラブラブだった。 ――と、わたしは思っていた。 なのに「別れようぜ」というたった一言で、わたしたちの関係は終わってしまった。
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