第1章

14/81
前へ
/81ページ
次へ
駐車場に車を停め、はやる気持ちを抑えながら、静かに降りる。 砂浜に足をつけると、走りかけた私の手をレンが、ガッチリと掴んだ。 結愛、転んだらどうするんだ?と優しく叱られ私は、ごめんなさい…。と言いレンを見た。 ゆっくり手を繋いで砂浜を歩く。 レンは、わたしを気遣いゆっくりと歩いてくれる。 私は、やっぱりいいねぇ~♪この海の匂い…。 と深呼吸をすると、レンは落ち着くな♪と私を見た。 今度は、この子が産まれたら来ようね♪♪と言うと、レンは笑って頷いた。 裸足になりまだ少し冷たい海の水に、子供のようにはしゃいでいた。 レンは、そんな私を見つめながら微笑んでいた。 夕方になり、そろそろ帰るぞ。お腹の赤ちゃん冷やしちゃ駄目だろ? と言われ私も頷き、足を拭いた。 車の中に戻り、少し寒いかな…と言うとレンは、自販機があるからココアでも買って来る。と車から降りた。 レンの後ろ姿を見ながら、この幸せが怖くなっていった…。 レンが戻って来て、ココアを私の頬に当てて笑う。 アツッ!!と叫ぶとまた笑われた。 もう…いぢわる~!と私がふくれるとレンは、ごめんごめん♪とココアを手渡してくれた。 ありがとうと受け取ると、レンの温かさが感じられ、涙が頬を伝った…。 ん?どうしたんだ?具合悪いのか?とレンは、心配そうな顔で覗き込む。 違うの…こんなに幸せで…嬉しいの…。 でも、幸せすぎて怖いの…。 そう言うとレンは、大丈夫だよ。と涙を拭ってくれた。 ほら、冷めちゃうぞっ♪とレンは、笑いながら頭を撫でる。 あ…ごめん…。 頂きます…。と一口飲んだ。 お腹がフワ~ッと温かくなった。 美味しい…と私が言うとレンは、微笑んでいた。 飲み終わり、レンがそろそろ帰るかと言い、シートベルトをした。 私もシートベルトをして、苦しくない?とお腹を撫でながら呟いた…。 身体が温まり、気持ち良くなりいつの間にか眠ってしまった。 …、い…ゆい、結愛…。 レンが、呼んだような気がして瞳をゆっくり開けた。 んん~…?あれ?レン?ここ何処…? と私が言うとレンは、笑いながら家だよ。と答えた。 ごめんね、レン…疲れちゃったよね…。と言うと、俺は大丈夫だよ。結愛は大丈夫か?と優しく微笑んでくれた。
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加